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<1,着丈について⑤>

執筆者の写真: 大輔 岡部大輔 岡部

パンツ、スカート、ワンピースには数字による寸法指示のほかに各丈の名称での指示をする場合がある。

パンツでいうところのくるぶし丈であったりスカートの膝丈などだ。

インターネット等で検索したらそれぞれがどれくらいのものかはすぐヒットするがハンガーイラストとしての内容はみられなかったので今回はそれらについてまとめていく。

尚、今回は第2回目<伝わり易いハンガーイラストを考える>で取り上げていた①~④のうち①と②に該当する内容となる。



「膝丈スカート」はとてもよく耳にするスカートの呼称だ。

ウエストから膝までおよそ55㎝なので55㎝丈スカートと呼ぶことはあるのだろうか。

結論から言うと例外を除いてあまりそのように呼ぶことはない。

これはなぜかというと同じ55㎝丈であってもハイウエストかローウエストなのかで裾の上り位置が変わってくる

これらのようなウエストのケースにおいても一定の裾上がりを保障してくれるのが「膝丈」といった各丈の名称だ。

じゃあこの膝丈は一体何㎝なのか、というと実のところ明確な寸法はなくウエストラインからおよそ55㎝くらいといったやや曖昧なものになる。

ブランドによってターゲットとなるボディの寸法が変わる為だ。

今回説明するにあたって寸法を記載するがあくまで標準体型(身長158㎝)準拠なのでご注意いただきたい。


■スカート

スカートは丈の種類が豊富にあり同じかもしくは似た(もしくは同じ)意味を持つものも存在しレディースアパレルを作る上で充分な知識を持っておくのが理想だ。

かの有名なデザイナーココ・シャネルの名言からもあるように膝を出すか出さないかはブランドの大きな命題ともなり、非常に重要な要素となる。

またマキシ丈、フロア丈などは着用者の身長や靴の高さに左右されるものもあるので慎重に検討を重ねる必要がある。

尚、これらは前述の通り明確な線引きはなくそれぞれの境目は曖昧なものである。

どのように分けられているのだろうか。

・マイクロミニ丈

・ミニ丈

・膝上丈

・膝丈

・膝下丈

・ミディ丈

・ミモレ丈

・ロング丈

・マキシ丈

・くるぶし丈

・フロア丈

・イブニング丈

・フルレングス

更に掘り下げれば一過性のものも含めまだあるかもしれないが常用されているのは以上ではないだろうか。

これだけでも一見すると多く見えるが大別すれば膝より上なのか下なのかの二通りに分けて考えると整理される。

・マイクロミニ丈:ウエスト~35㎝前後 かなり短く裏地がショートパンツになっているケースも多く見られる。

・ミニ丈:ウエスト~35㎝~50㎝ 膝より上であれば大別してミニスカートと呼ばれる。

・膝上丈:ウエスト~50㎝前後 膝が見える位置。ブランドによって細かく調整される。

・膝丈:ウエスト~55㎝前後 ジャスト膝。ブランドによって細かく調整される。

 

・膝下丈:ウエスト~60㎝前後 膝が丁度隠れる。ブランドによって細かく調整される。

・ミディ丈:ウエスト~60㎝~70㎝前後 最も汎用性の高い丈と考える。ミディ丈として65㎝をよく見かける。

・ミモレ丈:ウエスト~70㎝~80㎝前後 フランス語、ふくらはぎの中心前後

・ロング丈:ウエスト~80㎝~90㎝前後

・マキシ丈/くるぶし丈:ウエスト~90㎝前後 

・フルレングス/フロア丈/イブニング丈:ウエスト~100㎝+ 床に付くくらいの丈。ブランドによって細かく調整される。


■ワンピース

ワンピースの丈もスカートと同様にミディ丈、ロング丈といった呼称で分けられる。

ただスカートでいうマイクロミニ丈のようなものはあまり聞かない。

長めのトップスとして扱われるからだ(恐らくアイテム単価の関係だろうか)。

ワンピースで短めの丈は一般的にチュニックと呼ばれる。

・チュニック:BNP~80㎝~90㎝ 85㎝前後をよく目にする。

・その他:背丈38㎝(BNP~ウエスト)にスカートのウエスト~裾までの寸法を足すと良い。

例えば膝丈ワンピースは38㎝+55㎝で93㎝といった計算だ。

もちろん、丁度93㎝ではなく前後となる。


■パンツ

パンツは主に5分丈、7分丈のように指示することが多い。

これらは一体何に対しての数字なのかというと股下(渡り~かかとまで)を10とした場合の割合だ。

一般的に女性の股下比率は44%前後と言われているので身長158㎝だとおよそ69.5㎝(69㎝~71㎝くらいが平均値だろうか)となる。

では股下設定は69.5㎝を10分として1分2分3分と計算すれば良いのだろうか。

これは半分正解で半分間違いだ。

というのも69.5㎝はあくまで人体そのものの寸法であって商品の寸法ではない。

商品によっては股ぐりの深いものもあり必ずしもフルレングス=69.5㎝とはならない。

これらを踏まえよく使われる丈で股下を幾つかに分けてみる。

また、丈によっては別の呼称、個別のパンツ型もあるので併せて記載する。

以下で説明するのはあくまで股上26㎝(人体上でのジャストウエスト~渡り)の条件に基づいたものである。


<ショートパンツ>

膝上丈から上の股下丈は総じてショートパンツとカテゴライズされるがその中でも丈による差別化があると考える。

・0分~1分丈:股下0㎝~5㎝、またはホットパンツと呼ばれる。

・1分~2分丈:股下5㎝~10㎝ スカートの下に履くアイテムとしてよく見る丈。

2分~4分丈:股下10㎝~25㎝ 最もショートパンツらしい丈。


<ハーフパンツ>

渡り~29㎝前後が丁度膝の位置とされているのでその前後の丈。

4分~6分丈:股下25㎝~35㎝。

・バミューダパンツ:4分~6分丈でやや細身のシルエット

 


<クロップドパンツ>

クロップドのcropは「端を切り落とす」という意味、裾を切り落とした6分~8分くらいの丈の総称。

6分~8分丈:股下35㎝~55㎝前後 

・カプリパンツ:全体的に細身で、裾に向かってさらに細くなったシルエットが特徴のクロップドパンツ。

・サブリナパンツ:女優オードリーヘップバーンが映画「麗しのサブリナ」にてカプリパンツを着用していたことから呼ばれるようになった。私個人の考えでは7分~8分丈(オードリー準拠)がベストかなと思う。

<アンクルパンツ>

またはくるぶし丈とも。

・9分丈:60㎝~65㎝前後

<ロングパンツ>

くるぶしの下まであり、最もベーシックな丈。

・フルレングス:70㎝前後 



■まとめ

以上のように着丈に関して思いを綴ってきた。

ハンガーイラストを描く時にある程度製品に近い着丈で描かれていたらかなり作業効率が上がり作図において非常にありがたい(後光が差して見える程にありがたい)。

忙しい中ではなかなか難しいとは思うが心の中の片隅に留めておいていただけないだろうか。

今回のデータは以下のリンクからダウンロードできる。




次回は天巾か袖丈と考えている。

最後は少し駆け足気味になったが何かの参考になれば幸いである。


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